☆.。.:*・ 迷い星 .:*・°☆

古い紙に包まれた一本の棒のようなものがある
薄汚れた文字を読むと「迷い星」
「芙蓉さん、これはなに?」
銀河雑貨古道具店は小さなお茶を飲めるスペースも持っている
僕は飲んでいたキャラメルティーもそこそこに近くにあった古道具に手をのばす。
「それは星の粉が入っているです。開けてみてもいいですよ」
僕は恐る恐るその紙がちぎれないように広げてみる
中には小さな試験管のようなものが入っていて、その中には何かキラキラした粉が入っている
「これが星の粉?」
「星になりきれず、空から落ちてきたのだと聞いていますよ。
以前祖父からもらったという帽子屋さんから譲り受けました。
日の光にあてると嫌がって赤く怒ったそうですよ。」
この青い星が?
「芙蓉さんやってみた?」
店主は僕の好きな、困ったような、うれしいような顔をする。
「嫌がる事はやりたくありませんが、小道具店の店主として
興味があってやってみてしまいました。」
恥ずかしそうに話をする店主に
どうだったの?と僕が身を乗り出して聞くと
「もう年をとって寛容になったのでしょうか、赤くはなりませんでしたよ。
でも少し色がかわりましたかね。紫色っぽくなったような気がします。」
ここらへんが、と粉の下の方を指差すと
その横の僕の手首に巻いた時計が目についた
いけない、帰る時間だ
「ね、今度昼間にきて日に当ててみてもいいかな?」
「どうぞ、よく晴れた日に来て下さいね」
僕は一気にキャラメルティーを飲み干すと
すぐにも駆け出して、お店を出ようとしたその時に
店主はあわてて一言付け加えて言った
「でも前みたいに学校はさぼってはいけませんよ!」

僕の足下を真っ白い猫がすり抜ける
扉を閉めて僕は駆け出す

僕の指先から何かが空へ飛んでいく
あれはさっきの迷い星一粒、星になる決心をしたようだ





Item:01
name:迷い星
硝子の管の中にはブルーとクリアな石の粉
昼間、日の中にいると紫色に変色する。